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飲み物としてのコーヒー
飲み物としてのコーヒーは、直前にコーヒー豆から抽出して飲むレギュラーコーヒーと、レギュラーコーヒーから工業的に作られるもの(インスタントコーヒーや缶コーヒーなど)に大別できる。コーヒーの淹れ方や飲み方は地域によってさまざまであり、また個人の嗜好によっても大きく異なる。
淹れ方
焙煎されて粉砕されたコーヒーの粉は、湯または水に接触させることで中の成分を抽出し、我々が口にする飲み物としてのコーヒーが出来上がる。このときの抽出方法、すなわちコーヒーの淹れ方には様々な方法が存在する。コーヒー専用の抽出器具が多く考案されており、それぞれの淹れ方は用いる器具の名前で呼ばれることが多い。 コーヒーの風味は、焙煎の度合いや挽き加減(細かく、粗く等)、淹れ方や用いる器具などにより異なるが、それぞれの持ち味があるのに加えて本人の嗜好の問題であるため、万人が最善の方法だと言うものは存在しない。
濾過
ドリップ
ウォータードリップ (水出し)
専用の機材を用い水でコーヒーを抽出する方法。点滴のように少しずつ水を落として抽出するため、1杯辺り8時間程度を目安とする。抽出する器具もインテリアとして活用される。近年、安価な器具が登場し、一般の家庭でも楽しめるまでになっている。オランダ領時代のインドネシアで、ドリップ式では苦みが強く出てしまうロブスタ種のコーヒー豆を飲むために考案されたことからダッチコーヒーとも言う。現在ではアラビカ種の豆にも用いており、繊細な風味を活かすための方法である。

ペーパードリップ
日本で最も普及していると思われる淹れ方。ドリッパ(一種の漏斗)にフィルタ(漉し紙)をセットし、粉を入れ適量の湯を注ぎ、30秒程度蒸らした後に抽出を開始する。ドリッパの湯が完全に切れる前に外すと雑味の無いコーヒーとなる。
前述の手順さえ守れば誰でも一定水準のコーヒーが淹れられるのがこの方式の最大の利点である。
ペーパードリップの方法は、1908年にドイツ人女性メリタ・ベンツが考案した。メリタ式(抽出穴1つ)とカリタ式(同3つ)が存在し、最適なメッシュ(挽き具合)が異なるとされている。一般的に、メリタの方が細挽きで抽出される。抽出法の違いは、メリタ式が杯数分の湯を全量フィルターに投入し滴下しきるのを待つのに対し、カリタ式は湯を投入し続け、フィルタの下のデカンタに杯数分滴下した段階でフィルタをはずし、フィルタ内の抽出中の湯(コーヒー)は廃棄する。従って、カリタの方が経験を要し、味のぶれる要素は大きいとも言える。
サイフォン社のコーノ式やハリオ社の製品等で「円錐ドリップ」と呼ばれるものが普及しつつある、これはペーパーフィルターに折ったときにその形が円錐形になるものを用いそれを円錐形のドリッパーにセットして使用する、ペーパーをセットした際に円錐形のペーパーの先端がドリッパーの穴から少し飛び出すようになるのが特徴でこれにより抽出されたコーヒー液は直接ペーパーの先端部分から容器に落ちる、別名「一点抽出法」、よりネルドリップに近い抽出様式になるように考案されたもの、同じ粗さのコーヒー粉を用いた場合メリタ式やカリタ式よりも湯の透過速度が速い。 その他、ペーパーフィルターを用いた抽出法として松屋式やコーヒーバネット等のらせん状の金属の枠にペーパーをセットして抽出する方法や、一旦必要量の湯とコーヒー粉を容器で混合し、浮いてくる灰汁をすくって取り除いた後に数分置き、それをペーパーで濾して飲むという浸漬式との組み合わせのような方法も存在する。コーヒーメーカーがもっとも多く採用している淹れ方でもある。

ネルドリップ
フィルタとして布(綿フランネル)を使用する抽出法。布と紙の材質の違いからペーパードリップよりもコーヒーに含まれる油分がより抽出されるのでペーパーでの抽出に比べてまろやかでボディ感のある味となる傾向があり、またペーパードリップのように紙の影響を受けない。味と香りは、抽出方法に大きく左右される。基本的にはドリッパーを使用しないためにドリッパーが温められることによりある程度抽出液の温度が保たれるペーパー式に比べ抽出時に抽出液の温度が下がりやすい。 ネルの取り扱いには注意を要する。使用後のネルはコーヒーの油膜の酸化を避けるため、直ちに洗浄し、冷水に浸けて保存する。臭いが移るのを避けるため、洗浄の際は洗剤の類を使用しない。新品のネルは抽出済みのコーヒー粉を入れた湯で煮沸し、洗浄後に使用する。

エスプレッソマシン/マキネッタ
高温、高圧をもって一気に抽出するエスプレッソマシンと、飽和水蒸気を使用する直火式のマキネッタがある。詳細はエスプレッソ項を参照のこと。

煮沸後濾過
コーヒーサイフォン
サーバと漏斗から構成され、漏斗部にネル又はペーパーフィルタをセットし、粉を入れる。サーバ部に水をいれ、加熱し、湯が漏斗部に上がったら頃合いを見計らって火から下ろす。 最近、アルコールランプやガスコンロ等を使用する直火式以外に電熱式も普及しつつある。

パーコレータ
コーヒー粉の入った籠状部分に湯を循環させ、抽出する。機材の構造が単純であるため、メンテナンスは非常に容易でキャンプ等で用いられるが、美味しく抽出するのには熟練を要する。

]煮沸
ジェズヴェ/イブリック(トルココーヒー)
ひしゃくのような形をした柄の深い小鍋に、深煎り細引きの粉と水、砂糖を入れ直火にかける。かき混ぜながら煮沸し、煮立つ直前に火から離し落ち着いたら再度火にかける。これを2,3回繰り返し、表面の泡を消さないようにカップに注ぐ。
まず泡の味を楽しみ、粉の沈殿後に上澄みのみを飲用する。カップの底に粉が残ることから、この模様で運勢を占う「コーヒー占い」という習慣もある。

ボイル
単純な煮沸法。粉と水を鍋に入れて煮沸して抽出し、上澄みだけを飲む。北欧やギリシャで見られる淹れ方で、トルココーヒーに由来する淹れ方だと考えられる。

浸漬(しんせき、しんし)
フレンチ・プレス
コーヒープレス
粉と湯をプランジャーポットと呼ばれる器具(他にもティーサーバー、カフェティエール、ボナポット、フレンチプレス、メリオールなど様々な呼称がある)に一緒に入れて抽出する。プランジャーと呼ばれる軸の先端には金属やナイロン製のフィルターが付いており、このプランジャーを押し下げて抽出済みのコーヒーかすを沈め、上澄み部分をカップに移す。イギリスではコーヒーを入れるのにペーパーフィルター式よりもこのプランジャーが普及している。

コーヒーバッグ
コーヒー粉を布製の袋に入れ、それを水や湯に付けて抽出する。

スティーピング
単純な浸漬法。カップにコーヒーの粉と湯を加えてしばらく待ち、上澄みだけを飲む。(コーヒーのテイスティング時にこの方法が用いられる)

さまざまな飲み方
コーヒーは熱湯で抽出されることが多く、抽出されたそのままを、あるいは温め直されたものがホット・コーヒーとして飲まれる。夏場などには、専用に濃く抽出したコーヒーを冷やしてアイス・コーヒーとして飲まれることも多い。
抽出されたコーヒーに何も加えずそのまま飲むものをブラック・コーヒーあるいは単にブラックと呼ぶ。多くの場合は、これに砂糖とクリームなどの乳製品を別に添えて出されることが多い。この場合、砂糖(グラニュー糖、白砂糖など)やクリームは飲む人が自分の好みに応じて加える。「コーヒー通は専らブラックで飲む」という説を唱える人もいるが必ずしもそうとは言えず、むしろ本人の嗜好による。
なお、砂糖を加えないもののみをブラックとするのは、日本の用法である。英語でblackとは単に乳製品を加えないことをいい、砂糖の有無は問わない。
また、上記した以外にも、牛乳やアルコールなどを加えて飲まれることがある。これらはバリエーション・コーヒー(アレンジ・コーヒー)と呼ばれる。エスプレッソやダッチ・コーヒーなど特殊な淹れ方をするコーヒーも、最も普及しているドリップ式のコーヒーと区別する目的でバリエーション・コーヒーに含めて述べられることが多い。

コーヒーのバリエーション
カフェ・オ・レ
アイス・カフェ・オ・レ
エスプレッソ
カフェ・ラッテ
カプチーノ
ウィンナ・コーヒー
アイリッシュ・コーヒー
ダッチ・コーヒー
カフェ・ロワイヤル
モカジャバ
アラビア・コーヒー
浅煎りの豆を小鍋で煮出し、砂糖なしで飲む。
トルコ・コーヒー
細かく挽いた豆を(好みによって砂糖とともに)濃く煮出し、濾さずにカップに注いだものから上澄みだけを飲む。
ベトナムコーヒー
カップの底に練乳を入れた上にフレンチローストコーヒーを注いだもの。豆は深煎りしたロブスタ種を用いる。
コロンビア式コーヒー
ティントとも呼ばれる、黒砂糖を加えた沸騰した湯を用い、火を落してから粉を加え、数分静置して粉が沈んだところで上澄みだけ飲む。
インディアンコーヒー
インド亜大陸南方で好まれるインド風カフェ・オ・レ。
アメリカン・コーヒー
湯で薄めたコーヒーとの認識が一般的であるためにバリエーション・コーヒーと言い難いが、本来は浅煎り豆から薄めに抽出したコーヒーのこと。アメリカで一時期コーヒー豆の高騰により少ない量でもおいしく飲めるように浅煎りを用いていたことが起源。通常は砂糖、ミルクなどを入れずブラックで飲む。
サルタナコーヒー
コーヒー豆ではなく、コーヒーの実を乾燥させたものを少し焙ってから煮出したもの。イエメンではギシルと呼ばれる。
コーヒーぜんざい
小豆の餡を加えたコーヒー。生クリームやアイスクリームを同時に添えることも多い。餡コーヒー、あずきコーヒーとも。
鴛鴦茶(コーヒー紅茶)
中国香港式で、別途淹れた紅茶と混ぜて、砂糖、練乳を加え、ホットまたはアイスで飲む。
レモンコーヒー
レモンティーの様にレモンスライスを浮かべ、アイスまたはホットで飲む。イタリア南部や中国香港で見られる。
インスタントコーヒーと缶コーヒー
抽出の手間を掛けずに手軽にコーヒーを飲むためのものとして、お湯で溶かして飲むインスタントコーヒーや、抽出・調味された液が充填された缶コーヒー、ペットボトルなど各種ボトル入りコーヒーが発明され、工業的に生産されている。
缶コーヒーなどの「コーヒー」表示は、「コーヒー飲料などの表示に関する公正競争規約」に基づく区分により、製品内容量100グラム中の生豆使用量によって、次の3種類に区分される。
コーヒー:5グラム以上
コーヒー飲料:2.5グラム以上5グラム未満
コーヒー入り清涼飲料:1グラム以上2.5グラム未満
製品に乳固形分を3%以上を含むものは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」に基づき「乳飲料」となる。(カフェ・オ・レ、カフェ・ラッテ、コーヒー牛乳など) 詳細はインスタントコーヒー、缶コーヒーをそれぞれ参照
代用コーヒー
代用コーヒーとはコーヒー豆以外の原料を使って造られたコーヒーを模した飲料である。
代用コーヒーのもっとも古い記録はフリードリッヒ二世統治下のプロイセンでのこと。ドイツではコーヒーが流行しビール産業が大打撃を受けた。またコーヒー豆の輸入による貿易不均衡などもあり、1777年のビール・コーヒー条例によって高い関税が掛けられることになった為、庶民は代用コーヒーを飲まざるを得なくなった。また、南北戦争中の米国や、第一次・第二次世界大戦の時にコーヒー豆の輸入が滞った地域(日本など)や、冷戦時の東欧諸国でも代用コーヒーが飲まれた。 代用コーヒーの原料としてはタンポポの根、ゴボウ、ジャガイモ、百合根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、ドングリ、オオムギ、トウモロコシ、チコリ、玄米、根セロリ、パンの耳など。これらはたいてい煎ったものを粉末にし、お湯を注いで飲んだ。
代用コーヒーはあくまで代用品として考案されたものなので、コーヒーの安定供給が続いている地域・時代ではその消費量は少ない。しかし、代用コーヒーのほとんどはカフェインを含んでいないため、カフェインの摂取を避けている人がコーヒーの代わりに飲む場合がある。また大豆コーヒーなどは大豆の栄養価が評価され、健康食品として販売されている。

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